会社に行けなくなる日は突然来る

心はある日折れたり砕けたりしない。自分では気づかない量ですり減っているだけだ。
少しずつ少しずつ、毎日の積み重ねで。
そしてある日、これ以上削れないというところで初めて身体的な異常が深刻化し、自分がおかしいことに気づく。

その日が来るまでその人は働き続ける。
深夜残業し、早朝出勤をし、休みの日も出るようになり、だんだん人生における勤務時間が長くなる。
心に余裕がなくなり、焦り、なやみ、舌打ちの回数が増える。

それでもその人の負う仕事は多く、その人の果たす役割は大きい。
だから少なからず本人も貢献感や自分の重要性を感じている。
それが余計にその人を仕事に向かわせ、心の磨耗を見えなくする。

次第に頭痛やめまい、動悸がするようになり、内科に行くが異常はないと言われる。
一時的なものだろうと気にせずに働き続けると、寝つきも悪くなり、
次第に手が震えだすようになり、体を起こすことさえままならなくなる。
そして自分でも何が起きているかわからないまま、会社に欠勤の電話をすることになる。

その日は、突然来る。けれど、心が突然砕けたのではない。
心はその随分前からすり減っているし、体はそのサインを発している。

・人が辞めちゃったから
・自分しかできない仕事だから
・私しかこの事知らないから
・今は仕方ないから

そう言って今日も働いている人は、すぐに帰ったほうがいい。
大切な人とお茶でも飲みながら、未来の話をしたほうがいい。

自分は大丈夫だと、誰もが思っている。僕も思っていた。
いざとなれば会社を辞めればいいと、人にアドバイスしたりもする。
でも、その渦中にいるあなたは、まさに自分がその状態にいる事に気づいていない。
その日が来るまで、真面目な人ほど盲目になる。

そしてその日が来た時わかる。
あれほど「自分が」と思っていた仕事は誰かがなんとかするし、
会社はいつも通り回るし、昨日と同じ世界が続く事が。

あなたが明日会社に行かなかったら、修羅場は起きるかもしれないが会社は潰れたりしない。
しかし、同じように会社に行き続けたら、あなたは死ぬかもしれない。

「あの頃は大変だった」という武勇伝を語る人と心を壊す人の違いは、
チキンレースに勝ったか負けたかの違いでしかない。
やってることはどちらも同じバカなことだ。

そんな事に、あなたの人生が振り回されない事を祈る。

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